ショウジョウバカマ
花を咲かせる準備は出来ているのですが、日が照らないし、気温が低いのでつぼみが開きません。
スプリング・エフェラメル(春の妖精)と呼ばれている花は、この気候では可哀想な気もします。
その近くに、寒い中にポツンと1本だけ可愛い花が咲いていました。
ショウジョウバカマの花です。
ユリ科の多年草で、雪で傷んだ根生葉の中心から花茎を真直ぐに伸ばし、厳しい冬を耐えた健気な感じで花を咲かせます。
もちろん、これから暖かくなってくると、群生しているところも見られます。
また、生える土地によって、濃いピンクや白い花を咲かせているところもあります。
ショウジョウバカマは漢字では「猩猩袴」と難しい字ですが、特有の形をした赤い花を「猩猩」として、中国の想像上の動物で、猿に似ているとされ、人の顔と足をもち、人の言葉を解し、酒を好む・・とされています。
そして、光沢のあるヘラ状の葉を「袴」に見立てたものです。
別名をカンザシバナとも言われていますが、納得できますね。
花もニュークですが、葉もまた変わった特徴があって、葉の先端が地面に触れているとこから「不定芽」と呼ばれる芽を出し、子苗を生じて行きます。
花が実を結び、種子から子孫を残すだけでなく、葉からも増えるめずらしい植物なのです。
野生(自生)の山野草が減る中で、ショウジョウバカマは高山植物の分類に入っていますが、高山にのみ生えているわけではなく、全国の海岸近くの林から人里、田の畦、低地の湿原、池沼にまで分布を広げているので、適応力の強い花なのでしょう。
by hirospace | 2007-03-14 18:45 | 草花